季節が大きく変わる時は歯が痛くなる患者さんが多くなります。
体は季節に敏感です。
皆さんは歯が痛いことがあると不安になりますよね。
「でも痛くなっても時々だからきっと大丈夫」と思いたい方がほとんどだと思います。
この時期の患者さんの主訴に多いものは?
- ・噛み応えのあるものを噛むと、痛いような感じがする・違和感がある。
- ・食べているときはあまり気にならないが、何もしていないときに疼く。
- ・冷たいものがしみる。
- ・朝起きたときに歯が痛い。
- ・夕方頃になると歯が疼く。
などを訴える患者さんが多いです。
このような症状の方は一刻も早く歯医者さんへ!!!
先週より、今日の方がだんだん歯が痛くなってきた・何もしなくてもズキズキ痛い。
冷たいものが一旦しみると5~10分くらいズキズキしている。
歯を冷やすと楽になる。
- ・食べ物が当たると飛び上がるほど痛い。
- ・このような症状の方は虫歯や歯の根っこの病気のリスクが高いです。
- ・このくらいの症状になるとかなりの重症かもしれません。
「主訴」の原因は何でしょうか?
最近は、ムシ歯で痛い患者さんの数は減ってきています。
しかし、先ほどご紹介した主訴の症状がある患者さんの方が多くなっています。
その原因は・・・・「歯ぎしり・食いしばり」なのです。
歯ぎしり・食いしばりって?
殆どの患者さんは自覚がないと言います。
家族に「歯ぎしりがうるさいと言われたこともない」方がほとんどです。
ではなぜ、私たちは「歯ぎしり・食いしばり」が原因だと分かるのでしょうか。
- ・レントゲンを撮ってみると、明らかな虫歯の影がない。
- ・レントゲンで見ると根っこの周りが腫れている像がある。
- ・歯がすり減っている。
- ・歯に細かいヒビが入っている
- ・歯の根元が欠けている (多くの方は、ここがしみると言っています。)
以上が主な所見になります。
歯ぎしり・食いしばりはいろいろな悪影響があります。最悪、歯が割れてしまう事も。
皆さんは「歯ぎしり・食いしばりのダメージ」って思い浮かばないと思います。
でもとても深刻な状態を招く恐れがあるものなのです。
歯ぎしり・食いしばりの具体的な問題点は?
以下に挙げる症状は下に行くほど重症です。
- ・冷たいものがしみる。
- ・物を食べると痛い。
- ・何もしなくても疼く。
- ・入れ歯がすぐに壊れる。
- ・入れ歯を何回調整しても痛い。
- ・歯がぐらぐらになって痛くて噛めなくなる・物が噛み切れない。
- ・歯がすり減ってくる。 (噛み切る能力の低下・かみ合わせの悪化)
- ・歯の根元が欠ける。 (しみる・歯垢が溜まりやすく虫歯のリスクの上昇)
- ・虫歯になる。 (ヒビに虫歯菌が入って、そこから虫歯になります)
- ・詰め物が取れる。 (舌触りが気になる・一部だけ剥がれるとそこから虫歯になります)
- ・歯が欠ける。 (舌触りが悪くなったとか、詰め物が取れたと来院する人が多いです)
- ・歯が割れる。(激痛です・最悪、抜歯になります)
- ・歯が割れても歯ぎしり・食いしばりだと気づかない方がほとんどです。
- ・歯がすり減ってしまい、噛み合わせが悪くなってしまった方の治療は困難です。
- ・詰め物をしても取れやすい
- ・歯が短くなっているので銀歯とかも取れやすい
- ・強く噛むのですぐにすり減ってしまう。
歯ぎしり・食いしばりはどうしたら予防できるか
時々でも初めに書いたような症状が気になったら、来院してもらうことをお勧めします。
書いたように、自分で判断するのは難しいです。
歯ぎしり・食いしばりの治療方法は?
- ・歯ぎしり・食いしばりかの診査診断をします。(レントゲンや口腔内所見)
- ・歯が欠けていたり、詰め物が取れてしまっている患者さんは、それを治療します。欠けている人は歯を補修します。
- ・根っこが割れている方も、可能なら補修します。(マイクロスコープを使います)割れている方には歯に被せ物をします。
- ・急を要する方は、歯の形態を修正します。(余程でなければ行いません)
- ・最終的には寝るときにマウスピースを使用してもらっています。(保険で作製出来ます)
- ・かみ合わせの力が強すぎる方(入れ歯がすぐに壊れてしまう方も)は、トレーニングをお勧めしています。
マウスピース?って思う方も多いと思いますが、実は私も使っています。
多くの患者さんも使ってもらって効果を実感してもらっています。
実は昼間も・・・・
歯ぎしり・食いしばりは実は夜だけではないのです。
昔と生活が変わり、日常においてスマホを見たりパソコンを見たり、対人関係やいろいろなタスクの事を考えることが多くなりストレスが多くなっています。
歯ぎしりや食いしばりはストレスが原因だと言われています。
「歯が痛い」と来院し、マウスピースを使ってもらうと症状は改善する方が多いのですが、中には改善しない患者さんも少なくありません。
その多くの方は、日中の噛みしめ (TCHと言います)が原因になっていることが多いのです。
(義歯がすぐに壊れたり、何回調整しても痛い患者さんは多くの場合日中のTCHや食事の噛み方に問題がある事が多いのです。)
TCHは見つけるのが困難です。全く自覚がないからです。
寝ている時にする歯ぎしり食いしばりとはちょっと質が違います。
TCHについては改めて別の回でお話したいと思います。
まとめ
歯ぎしり・食いしばりは自覚の乏しい習慣です。
その割には何年もかけてジワジワと歯を窮地に追い込む厄介なものです。
症状が進んでからは後戻りできません。
折角マウスピースを作ったのに、使うのを忘れていて歯をダメにしてしまった患者さんを何人も診てきています。
症状に心当たりがある方は、勇気を奮ってご連絡してください。
いきなり歯を削ったり、抜いたりしませんので安心してください。