本当は上の歯と下の歯は接触していてはいけないって知っていますか?
ほとんどの方は、普段は上下の歯がくっついている(噛んでいる)のが基本だと思っているでしょう。
これがTCH (Tooth Contacting Habit)の基本なのです。
TCHの詳しくは、ここでは説明しませんのでネットで調べてみてください。
今回は、前回の歯ぎしり・食いしばりとの比較でお話していきたいと思います。
それぞれの特徴
歯ぎしり・食いしばり
- ・基本的には「夜間」に行っている異常習癖になります。
- ・昼間のTCHに比べて強い力がかかると言われています。
- ・その為に大きなダメージがあると言われています。 (前回の記事をご覧ください)
- ・マウスピースでダメージを軽減できます。(習慣をなくしたり、100%防ぐことは出来ません。)
- ・家族などに指摘されない限り気づきません。
TCH
- ・昼間の習慣と言われています。
- ・歯にかかる力は夜間に比べれば小さいので、歯を壊してしまうようなことは少ないでしょう。
- ・しかし、夜間に比較して作用時間が長いので、小さい力でもその積み重ねが結果的に歯にダメージを与えます。
- ・自覚しづらいですが、自覚できるようになると改善できるようになる方もいらっしゃいます。
- ・下を向いて仕事をする、PC作業や家事、スマホをさわる時間が長い方が特に多いです。
- ・「入れ歯が痛い・すぐに壊れる」方は、このTCHによる原因がほとんどです。
- ・噛みしめによる筋肉の緊張が続くので、筋肉の緊張による頭痛や肩こり、顎の痛みの症状もあります。
TCHと歯ぎしり・食いしばりの症状の違い
患者さんには区別は困難です。
強いて言うなら・・・
- ・歯がすごくすり減っていたり、歯が欠けていたら歯ぎしり・食いしばりをしたりする事が多いと思われます。
- ・夕方になると、肩凝りや頭痛、顎や歯が痛くなる などはTCHと思われます。
- ・両方とも、歯に冷たいものがしみたり、噛み応えのあるものを食べると歯に違和感を訴えたりする事もあります。
治療方法は?
前回の「歯ぎしり・食いしばり」とほぼ同じです。
- ・歯ぎしり・食いしばりかの診査診断をします。(レントゲンや口腔内所見)
- ・急を要する方は、歯の形態を修正します。(余程でなければ行いません)
- ・歯をかみしめないようになるトレーニングがあります。
TCHは気づきにくいので、改善しにくいのです。改善のためにはまずは気づくことが何より大切です。
気づくためには、気づくきっかけを作りましょう。
TCHに気づくきっかけ
- 自分の良く目に付く所、例えばPCのモニターやキッチンのカウンターなど頻繁に目が行くところに貼り紙をします。「食いしばり」とか「咬んでいない?」などと書いておきます。
- この紙を見たときに「素直に」上下の歯がかみ合っていないかセルフチェックします。
- 中には貼り紙を見た途端に、何事もなかったように自然に噛みしめるのを止める方がいます。それで「自分は咬んでいない」と言う方もいらっしゃいます。(これでは改善しようがありません・・・)
気づくだけでも意識が変わります。
ぜひ試してみてください!
まとめ
- ・実は日中も「歯ぎしり・食いしばり」がある。
- ・ダメージはじわじわと。でも、比較的大きな問題になることも。
- ・まずは気づくことが大切。
- ・マウスピースを使ってもしみる・噛むと痛い・違和感がある・午後になると頭が痛くなる等の人はTCHかも。
現代人は下を向いて仕事や作業をする機会がとても多くなっています。下を向くだけでも上下の歯が咬み合います。
スマホを操作する時、パソコンで作業をするときなど姿勢にも気を付けてください。
TCHに気づき、改善した方には肩凝りが激減したという方もいらっしゃいます。
現代病ともいえるかもしれないTCHを少しでも気にしていただけたら幸いです。