歯科コラム

どんな歯ブラシが良いの?


東高円寺 歯医者 石崎歯科医院 歯ブラシ

今回は歯ブラシの選び方についてお話します。

ドラッグストアに行くと、沢山の口腔ケアグッズが並んでいます。10年前に比べて陳列棚は拡大していると感じます。各メーカーもしのぎを削って多種多様な歯ブラシを開発・販売しています。

ドラッグストアに並ぶ歯ブラシだけではなく、「歯科医院専売」とうたわれる歯ブラシも頻繁に更新されています。

「そんなに歯ブラシって進化しているの?」って思いませんか?

歯ブラシは進化している!

私も新しい歯科医院専用と言われる歯ブラシが発表されたり、カタログに気になる歯ブラシを見かけたりすると取り寄せて使っています。

その中でも良さそうなものがあると当医院のスタッフに使ってもらい、「磨きやすいもの」があれば歯ブラシの種類を更新しています。

私の個人的な感覚からすると「歯ブラシは進化している」と感じます。

確実に10年前よりは歯垢が落としやすくなっていると思います。

何を基準に選んだら良いの?

沢山ある中からどうやって歯ブラシを選んだら良いのでしょうか。

ありきたりな回答で申し訳ないのですが、あまりにも種類が有り過ぎてパッケージだけを見て判断することは無理です。

答えは「使ってみて下さい」です。

この記事を読んでいらっしゃる方ならばきっと歯科医院に通っている方が多いのではないでしょうか。

歯ブラシ選びに失敗したくない方は、まずはいつも通っている歯科医院で置いてある歯ブラシの中から衛生士さんに選んでもらいましょう。

women has toothbrush

わざわざ歯ブラシを選んでもらいに行くのもねぇ・・・という方は、直感で一度に2~3種類の歯ブラシを購入してください。

1日ごと、歯みがきのたびに1種類ずつ使っていってください。

「歯ブラシって種類によってこんなに違うんだ~」って感じると思います。

私たちも気になった歯ブラシを取り揃えて、そうやって選んでいます。

その中から自分の好みに合ったものを選びましょう。

歯ブラシを選ぶポイント

  • ・フィット感が良いか。

歯ブラシの毛先が満遍なく歯や歯ぐきにフィットしている感じがあるか。

毛先が硬いと歯ブラシの毛先が「抵抗している」感じがします。

  • ・痛くないか。

もちろん毛先が硬いと歯ぐきがこすれて傷つきます。

  • ・持ちやすいか。

中にはグリップがツルツルしていて握るのに変に力が必要なものがあります。力が入ってしまうと繊細に動かせません。

当医院では

  • ・お口の大きさ
  • ・歯ブラシの強さ
  • ・粘膜の硬さ
  • ・歯並び
  • ・歯ぐきの状態 (歯周ポケットの深さや歯ぐきの退縮の程度など)
  • ・患者さんが細かく歯ブラシを動かせるか、あまり器用ではないのか

などを考えて選んでいます。

ただし、選んでは見たものの実際患者さんに使ってもらってみるとフィットしない事もあります。

その時は、どのように感じが合わなかったか伝えて下さい。

また、歯ブラシを変更した時は「上手く使えない」ことも多くあります。1~2週間使ってみると「慣れてきた」「磨きやすかった」に変わってくることもあります。

歯ブラシの硬さは?

普通が良いです。

歯ぐきの手術などを行った場合には「やわらかめ」をお勧めしていますが、使い続けることはお勧めしていません。理由は「汚れ落ちが良くないから」です。

やわらかい歯ブラシは磨いていて気持ちいいのですか、毛にコシが無いので汚れ(歯垢)を落とす力が弱いのです。

患者さんの中には、柔らかめの歯ブラシでしっかりと歯垢を落としてくる方がいらっしゃいます。

でもそのように出来る方はほんのわずかで、10~20分も磨いている「歯磨きが趣味」の方です。

歯ブラシのヘッドの大きさにも注目!

歯ブラシのヘッド(植毛している部分)の大きさです。

結構重要なポイントです。

ヘッドが大きめの歯ブラシは・・・奥歯まで磨きにくくなります。

ほっぺたや顎の骨が邪魔をして奥まで入れにくいのです。

その反面、面積が広いので余り歯磨きが上手ではない方でもそこそこ歯垢は落とせます。

細かい仕上げには向いていません。

小さめのヘッドは・・・細かいところまで「狙って」磨けます。

面積が狭いので、1本の歯に対しても「上半分/下半分」みたいに当てやすいところと当てにくいところを意識して磨く必要があるので、歯ブラシのコントロールが出来る上級者向けかもしれません。

奥歯まで届きやすいです。 特に「薄型ヘッド」と言われる特徴を持った歯ブラシは一番奥の角の方まで届きやすいです。(この部分は歯ブラシが届きにくい場所なので、虫歯の好発部位です。)

10年くらいまでは、この小さめのヘッドの歯ブラシがメインでした。多くの歯科医院でも勧めていたと思います。

しかし、初めに書いたように歯ブラシの性能は向上しているのであえて小さめのヘッドを選ぶ必要はないかもしれません。

特殊な歯ブラシとしてタフトブラシというものがあります。

これは磨きにくい場所(奥歯の角など)専用の歯ブラシです。

この歯ブラシはとても有効です。文章で書いて伝えるのは難しいので、ぜひ歯科医院で指導を受けて下さい。

東高円寺 歯医者 石崎歯科医院 タフトブラシ

特殊な形状の歯ブラシはどう?

いわゆる山切りカットのようなギザギザな形状やかまぼこ型などの歯ブラシも販売されていますが、私の意見としましてはお勧めしていません。

私も何種類も使ってみましたが、これは良いと思うものはありませんでした。

一般的に言ってスタンダードな形のものを選ぶのが無難でしょう。

電動歯ブラシはお勧めですか?

多くの歯科医院で推奨しているかもしれませんが、当医院としては基本的にはお勧めしていません。

その理由は「磨き過ぎてしまう」からです。

歯磨きの目的については他のところでお話させて頂きましたが、「虫歯にしない・歯周病にならない」

ためです。歯磨きして、「歯がツルツルになって気持ち良くなるため」ではないのです。

しっかり歯垢を落とさなくてはいけない(虫歯や歯周病の原因になる場所)のは歯の間や歯と歯ぐきの境目です。

その部分を意識して磨く時に電動ブラシだと「適切な力で当てる・狙って磨く」が難しく、よほど器用な方でないと強く当たり過ぎてしまう事が多いのです。

今まで歯医者として働いていた30年以上の間においても、拝見した患者さんで電動歯ブラシで適切に磨けている方は本当にわずかでした。

電動歯ブラシを使う時は、専用の歯磨き剤を使わないといけないって知っていますか?

電動ブラシは磨く力が強いので普通の市販の歯磨き剤を使用すると、歯磨き剤の中の成分にある「研磨剤」の量が比較的多く入っているので「歯が削れてしまう」のです。

研磨剤の役目は、歯に付いているステイン(茶渋やコーヒーなどの着色、歯垢のザラザラ感など)を取りやすくするものです。

患者さんのお口を拝見していると、歯の表面が削れてエナメル質が薄~くなっている方がいらっしゃいます。

その方に確認すると、歯磨き剤をいっぱい付けて磨いていたり、更には電動ブラシも使っていたりするのです。

本当に残念な状態です。歯磨きの本当の目的を教えてもらわなかったのです。

毎日一生懸命歯を磨いていたのに歯の寿命を縮めてしまっていたのです。磨き過ぎて、歯ぐきが下がってしまった方も同様です。

歯磨き一つを取っても、いっぱい考えなくてはいけない事があるのです。

今回は歯ブラシについて説明させて頂きました。

歯ブラシは進化していると思います。自分にあった歯ブラシを見つけてみて下さい。

「この歯ブラシ良いね!」と言える頃にはきっと歯磨きが上達していますよ!

もし選ぶのに困ったら歯科医院で相談してみて下さい。

toothbrush and mug

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