歯科コラム

間食について~砂糖を甘く見ていませんか? その1 ~


Damaged tooth with cavity dental caries decay

間食とは、朝食・昼食・夕食以外に摂取するエネルギー源となる食べ物と飲み物のことをいいます。

昭和の中頃までは栄養が今ほど十分ではなく、食事と食事の間に「おやつ」を食べることを推奨されていましたが、現代ではカロリーは十分にとれる時代ですので一般的には原則不要だと言われています。

しかし、肉体労働の激しい方はエネルギーをかなり使うので、それなりに栄養補給が必要になる場合もあります。

多くの方は午後3時くらいになると「気持ち的に」おやつが欲しくなります。

甘いものには感情をハッピーにさせる効果があります。

砂糖を摂取すると脳が喜ぶのです。

甘いものだけではなく、お米やパンや麺類、根菜(サツマイモやジャガイモなど)一見砂糖には関係なさそうな物も脳を幸せにする効果があります。(炭水化物)

そのため多くの人(脳)は何かに理由を付けて「おやつ」や「甘い飲み物」「炭水化物」を取りたがるのです。

実際には脳は「頭を使うと」と血糖を消費します。

でもだからと言って糖分不足になって脳細胞が駄目になることはないのです。

どちらかと言えば気持ちの問題なのです。

(糖分を補って、脳の「回転」が良くなることは確かに実際あると言われてはいますが、お話しするのは歯医者としての立場からのお話です。)

なぜ間食に注意する必要があるのか

ではなぜ間食に注意する必要があるのでしょうか。

まずは歯医者的な立場から言いますと、ずばり「虫歯になるリスクが高くなる」です。

前の記事にも書きましたが、歯の表面についている汚れは「食べ物のカス」ではなくて「細菌が増殖して出来た菌の集合体」です。

細菌の一番の栄養源は砂糖です。

食事をした後は多くの方は歯磨きをする習慣が身についていると思います。

食べ物を構成する栄養の中にも細菌のエネルギーとなるものが沢山あります。

食後の歯磨きの目的は「歯に付いた食べ物の残りを落とすこと=細菌の栄養源を断つこと」と「細菌を減らすこと」です。

食後にキチンと歯磨きが出来れば「虫歯の増殖」を減らすことが出来ます。

ほとんどの方は食事の後は磨いても間食「おやつ」の後はいちいち歯を磨かないと思います。

この場合の間食は「食べ物」だけではなくて「砂糖が入っている飲み物」も含めて考えて欲しいのです。

どちらも細菌の栄養になります。

例えば缶コーヒー。

タクシーの運転手さんは常飲している方が昔は多かったと思います。

眠気覚ましと考える方も多く、甘いために嗜好性も強いのです。

缶コーヒーを待ち時間などに少しずつ飲んでいると、口の中は常に「砂糖水」にさらされている状態です。

細菌にとって大繁殖できる絶好の環境です。

その様な方には虫歯も歯周病も多いのです。

甘いものを食べた後、お茶を飲んだりお口をゆすいでいるからだいじょうぶでしょ!

残念ですが・・・その位では虫歯や歯周病は予防できないのです。

砂糖分は思ったよりも歯に粘着しています。

虫歯を本気で予防したいならば、フロス・歯間ブラシ・歯ブラシなどを駆使して一通り綺麗に磨き上げるしかありません。

洗口剤もほとんど有効ではありません。

そのため、体の事も考えて甘いものを食べるのは食事のあとの楽しみだけにしませんか。

≪食後は糖分の吸収も緩やかになっています。≫

そのため、食後に食べる甘味は「甘いものを食べた幸せ」はありますが、血糖値を急激に上げてしまう「副作用」は避けられます。

何よりも、歯磨きの回数が効率的です。

歯ブラシが上手になっても虫歯や歯周病が改善しない!?

実はこのような患者さんが多いのです。

なぜだか分かりますか?

答えは・・・

間食です。

虫歯や歯周病がなかなか改善しない患者さんがいらっしゃいます。

ほとんどの場合は改善しない理由は歯磨きがなかなか上手にならないからなのです。

でも、何年もかかって上手になる患者さんもたくさんいらっしゃいます。

本当に何年も通って頂いて、上手になった時は本当に私たちも嬉しいです。

歯磨きが上手になるときはなぜか突然来ます。

前回までそこそこ磨き残しがあったのに、多くの方が急に上手になるのです。

何が変わったのか?

患者さんも私たちも良く分かりません。

でも患者さんの中で「何かが変わった」のです。

きっと多くの場合は「歯磨きに対する考え方」だと思います。

でも・・・歯磨きが上手になり、磨き残しがほとんどないのに虫歯は歯周病が改善しない方がいらっしゃるのです。

今までは歯が上手に磨けなかったから虫歯や歯周病が改善しないと思っていたのですが、上手に磨けるようになってからも改善しないのです。

その多くの患者さんには特徴があります。

間食がある患者さんです。

糖質が多い食事をしている方、特に甘いものを多く間食している方の唾液はすごくネバネバしています。

ネバネバした唾液は歯に汚れが付きやすいですし、本来唾液は歯に付いた食べかすなどを洗い流す作用があるのですがそれが無いのです。

間食の習慣がなくならないと、虫歯や歯周病は改善しません

最近では早期に患者さんへ間食の指導を始めるようにしています。

それでも間食を止められない方は多くいらっしゃいます。

私たちがお口を見ればちゃんと間食を改善してくれたかどうか分かります。

唾液の性状が違うのです。

皆さんも聞いたことがあるかもしれません。

「虫歯や歯周病は生活習慣病なのです」

考え方を改善しなければ虫歯や歯周病も改善しないのです。

砂糖は虫歯の最大の栄養源です。

砂糖を甘く見てはいけないのです。


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