歯科コラム

砂糖を甘く見ていませんか? その2


その1で砂糖を取り続ける習慣が虫歯や歯周病を改善できない理由だとお話ししました。

実はそれ以外にも砂糖(糖質)には問題があるのです。

体にとっての「砂糖(炭水化物も含めて)」はどの様な存在なのでしょうか。

身体が動くため(生きていくため)には体を構成するタンパク質やカルシウム、体を動かすためのエネルギーが必要です。

エネルギーになるものは下の図のようになっています。

炭水化物は体を動かすために必要な、車で言えばガソリンのような役目になります。体は筋肉を動かし、内臓を動かし、脳を働かせるためにエネルギーが必要です。

でも、個人個人によって必要なエネルギーには大きな差があります。

一日中、デスクワークをしている人。大工さんなどの肉体労働者。必要なエネルギー量は違うのです。

例えば、一般的な成人男性が必要なエネルギー量は2,200kcal と言われています。

もしこれが毎日のように、5,000 kcal とっていたらどうなるでしょうか。

人間は、残念ながら必要ではない「エネルギー」を簡単には体の外に排出できません。緊急時のために体の中に脂肪として蓄えるように出来ています。という事は、余ったエネルギーは脂肪として体に蓄えられて肥満になってしまうのです。

それでは反対に、エネルギーが不足するとどうなるのでしょうか。

先ほども書きましたが、人間が生きていくために必要な最低限のエネルギー量も各人違います。そのエネルギー量が毎日の食事で不足していると、生きていくためには最終的にはタンパク質(主に筋肉)も「分解してエネルギーに変えて使っていく」のです。

食事が出来なかったりで、エネルギーが取れないと結果として筋肉が瘦せていくので歩けなくなったりします。

(タンパク質(筋肉を構成するために大切な要素:お肉屋お魚など)を食べないと同じように歩けなくなってしまいます。)

そのために、人間は自分に合ったエネルギーの取り方、食事の内容を気を付けなくてはいけないのです。

糖質が多すぎると体にダメージを与えてしまいます

食事をすると食べ物は胃で分解されて腸で吸収されます。

吸収されると血液中の血糖値が上がります。

血糖は通常体の中にあるインシュリンで血糖値が上がり過ぎないようにコントロールされています。

でも、何かの理由で血糖値が下がらないといろいろな問題が引き起こされるのです。

詳しい説明は専門書に任せますので、歯科的に気になる部分について書いていきます。

血糖値が高いまま維持されていると(頻繁に甘いものを食べていたり、糖質を取り過ぎでインシュリンが正常に機能しなくなってしまったりすると)血管の中には多くの「糖分」が存在します。

そうするとその糖分によって血管の内面が傷つけられると言われています。

傷つくとは、血管壁が硬くもろくなり、血管が破綻して出血しやすくなるのです。

心筋梗塞や脳梗塞、脳内出血などを引き起こすようです。

歯科では、歯ぐき健康状態に違いが出てきます(出血しやすくなったり、治癒が悪くなります)

その1でも書きましたが、歯が上手に磨けるようになったのに虫歯や歯周病が良くならない方がいらっしゃいます。

糖質が原因と書きました。虫歯菌の栄養になるとその1では書きましたが、歯肉にはどんな影響があるのでしょうか

虫歯や歯周病の治療の為に歯ぐきを手術することがあります。体の健康の良しあしで歯ぐきの治りに差があるのです。

歯ぐきの手術のあと、2~3週間しても治りが悪い人に確認すると明らかに糖質が多く、ビタミン類の摂取が少ないのです。

反対にとても治りが良い患者さんに食事の内容を聞いてみると糖質の摂取を控え、タンパク質とビタミンをしっかり取っている方が多いのです。

どちらの患者さんも歯磨きの上手さには差はほとんどありません。

そうするとその差は栄養だと言えると思います。(睡眠やストレスももちろんあると思いますが・・・)

歯ぐきは健康のバロメーター!

お口は内臓器官の入り口です。そのため、本来はお口で呼吸をしてはいけないのです。(詳しくは別の機会に)

唇は常に軽く閉じていて、お口の中は常に唾液に湿潤されている状態が正常です。お口は内臓の入り口なので、「ほぼ内臓」と考えて欲しいと思います。

その様な立ち位置にある歯ぐきの治り方に違いがあるとすれば、まさに内臓の「健康状態」を反映していると考えても良いのではないのでしょうか

すごく治癒力の高い歯ぐき=体の中の細胞の治癒力も高い=癌とかになりにくいのでは?と考えられませんか?

癌細胞は体の中に頻繁に発生しているらしいです。体はその悪い細胞をやっつけながら癌に侵されないように常に修復しているそうです。

癌になりにくい体質=糖質のコントロールが大切だと思いませんか。(癌細胞の「エサ」は糖質だとも言われています)

実際に、癌になってしまった患者さんは癌の栄養である糖質を減らすと良いという文献もあります。

血糖値スパイクって聞いたことはありますか?

詳しいことはグーグルで調べてもらうとして、ここではイメージ的な事をお話したいと思います。

虫歯や歯周病には直接関係は無いのですが、ぜひ知っていて頂きたいことなのでお話したいと思います。

あくまでもイメージ的なものとして捉えて頂ければと思います。

例えば、1日の仕事を終えて何か一息つきたいな・・・

と思う方は多いと思います。

ある方は、「仕事終わりのビールがうまいんだよ~」とか「疲れた時のケーキ、最高に幸せ!」とか思う方は多いと思います。(いきなりケーキの方は少ないとは思いますが・・・)

どちらも糖質の塊。空腹にビールやケーキ、ハッピーな事間違いないです。

この時に起こるのが血糖値スパイクです。いきなり血中の血糖値が跳ね上がります。

これが幸せの正体です。

食事の間に食べるおやつも気持ちをハッピーにしてくれます。この時にも血糖値スパイクが生じます。体は異常に跳ね上がった血糖値をコントロールすべく一生懸命にインシュリンを放出します。

これを頻繁に繰り返していると、そのうちインシュリンが出なくなってしまったり、上手にコントロール出来なくなってしまいます。これが糖尿病の始まりの一つです。(糖尿病の原因にはいろいろありますが)

また、脳も甘いものをハッピーと捉えるので、これが習慣化すると糖質を摂取しないとイライラするようになります。そのため、空腹に多量の糖質の摂取や食間の頻繁な「おやつタイム」は 体の為にも精神の安定のためにも避けた方が良いのです。

例えば他にも、甘いもの大好きな小さいお子さんが、欲しいタイミングでおやつをもらえないと異常に欲しがって泣いてみたり、必要以上に怒ったり攻撃的になったりしませんか。

甘くて美味しいものは虫歯の原因を作るだけではなくて、気持ちもコントロールされてしまい悪習慣に繋がるのです。

お子さんが甘いものを異常に欲しがる時は徐々に甘いものを減らしていかなければなりません。お子さんの機嫌を取ろうとして甘いものを与えてはいけないのです。

もちろん自分もです。「甘いもの食べないとイライラしてしょうがない」は改善しなくてはいけないのです。

砂糖には悪魔的な魅力があります。麻薬的な魅力です。癖になったら辞められない。

でも将来の自分の歯と体の健康のために食習慣を改善していきましょう。


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