歯科コラム

タイへの歯科研修旅行 


令和5年、11月10日から13日まで、スタッフに診療所を任せ海外の歯科の現状を知り、日本との違いを勉強してこれからの自分たちの目指すものを明確にするために研修に行って来ました。

最近、勉強していると日本の文化や考え方は先進国に比べてひと世代遅れていると言われてます。

歯科もその一つだそうです。

私は日本の治療が時代遅れだと今までそれ程気にした事はありませんでした。

その様な話を耳にすると、実際にどれ程違うのかとても気になっていました。

そんな時、勉強会グループでタイの歯科医院や病院の見学ツアーがあると聞き、急遽参加させて頂く事にしました。

概要

まず初日はバンコク市内から車で約1時間ほど離れたSrirachaという場所にある日本人の歯科医師が経営している歯科医院の見学に行きました。

タイでは、日本人の歯科医師が診療に当たることができないために、タイの歯科医師を雇用し、その先生に診療を任せる形になっています。

このシラチャイと言う場所は日経の企業が多く、日本からも赴任して多くの人が住んでいる場所です。

診察の対象の90%くらいが、その日本人の方が対象になっているそうです。

赴任してくる方の中には家族で赴任してきている方も多く、奥さんや子供たちもいて、その子たちの治療もしているそうです。

日本人の患者さんたちの多くは詰め物が取れてしまって困っていたり、どこかが痛くて困っていたりすることが多く、その治療が多いという事でした。

赴任の日本人の方たちは3 から4年ぐらいはこちらにいることが多いそうです

一緒にタイに来ている子供たちの年齢は多くが小学生前後で、口腔の発育にとても大切な時期です。

赴任すると、普通なら歯科治療は海外ですることは考えないと思います。

しかし、そのくらいの年齢の時は、お口の発育にとても大事な時期なのですが、海外に赴任している間の多くの場合、何もしないで過ごしてしまうことになります。

そこでその先生は現地でその子供たちの大切な時期を無駄にしないために、発育を重視した治療を奨めています。

言葉の壁

しかしそこで治療をするとなると、問題になってくるのが言葉の壁です。

こちらの状況を説明したり、お話を聞いたりするのはタイ語しか話せない現地の歯医者の先生です。

(タイのドクターのほとんどがタイ語と英語を話すことが出来ます。この時点ですでに違いを感じてしまいました。)

ほとんどの患者さんはタイ語を話せることができないので、主治医に訴えたいことを上手に伝えたり、先生の話をうまく理解したりする事はまず不可能です。

そこでこの歯科医院では日本語とタイ語を話せるコーディネーターを置いています。

コーディネーターの方は2人いらっしゃいます。

1人は日本人の方で1人はタイ人の方です。

そのコーディネーターさんのおかげで日本人の患者さんたちは不安なく診療を受けることができます。

とても素晴らしいことだと思います。

この方たちは、現地の日本人の患者さんとコミュニケーションを取るだけではありません。

1年の殆どは、経営者である日本人の歯医者さんは日本にいます。

その先生とオンラインで経営の指示のやり取りをしたり患者さんの治療計画を立てたり、タイの患者さんとオンライン診療をするための段取りをしたりと大活躍です。

また、赴任の期間が終わってしまっても、その先生は帰国後もその治療の続きを安心して受けてもらえるように、帰国先の地の日本の先生の紹介もされています。

タイの診療保険診療は無いので、はもちろん全て自費診療になります。

歯科に関する費用はとても良心的な金額で日本とほぼ同じくらいの費用設定で診療されていました。

タイの一般人の歯科事情は?

ちなみに、現地のほとんどの方たちは、給与が日本と比べてとても低いためになかなか歯科医院で本格的な治療を受けることができないそうです。

例えば、日本ならば保険でできるような銀歯も一般の方たちの給料の2ヶ月分になるそうです。

そのためこちらの方たちはとてもセルフケアに気をつけているそうです。

実際、こちらのスーパーマーケットとかを覗くと、歯ブラシグッズや歯のケアグッズがとても充実しています。

こちらの人が虫歯になってしまうと残念ながら治療費が高いために,日本のように治療をして銀歯を入れたりすることが難しいそうです。

そのため、ギリギリまで我慢して、最終的には歯を抜いてそれで終わりにしてしまうことも多いそうです。

歯を抜いたまま放置するために、噛み合わせが悪くなったり、歯が傾いてきたりしてしまっている人も多いそうです。

その辺も日本人の考え方とは随分異なると感じました。

一般の方たちの歯科の知識は日本に比べるとやはり低いようです。

せめて、国が予防に力を入れて歯の磨き方や生活習慣のことを浸透させたら随分と健康が改善されるのではないかと思いました。

それとは反して、タイの中心地であるバンコク市内のにぎやかな場所にはかなりの歯医者さんの数がありました。

バスに乗りながら街並みを見ているとあちらこちらに歯医者さんが目につきます。

その歯医者さんのターゲットはやはり裕福な方だそうです。

町中にある歯医者さんも何軒か見学して来ましたので後程説明させていただきます。

到着初日

現地には、現地時間(日本とは2時間差、日本の方が2時間早いです。)の3時ごろタイのスワンナプーム空港に到着しました。

多少混んでいましたが、入国審査も順調に通過できました。

そこからは現地の集合の場所のホテルに向かいます。

空港線(電車)に乗り、パヤータイ駅まで向かい、そこからはタクシーを利用しました。

配車アプリのGrab を使い、タクシー (と言ってもいま日本で取り上げられている、一般人が登録して、自家用車でタクシー代わりにしているものが多いです)を呼んでホテルに向かいます。

タイは、世界一渋滞の激しいところだそうですが、噂どおりバンコク市内は本当にひどくて2~3分全く動かないことも何度かありました。

タイに行かれる方は是非研究してからお出かけください。バンコクでのタクシーの乗り方を書いたら、この記事もそれだけで終わるほど知識がないと苦労をします。

ツアーの先生方との顔合わせ

夕方の集合時間になり、ホテルのロビーに行きました。 私が顔を知っているのは今回このツアーを企画してくれた2名の先生のみです。  ほかの先生たちは全く知りません。

最終的に集まったのは私以外に9名の先生でした。 その先生たちはそれこそ全国から集まった先生たちです。

みんないろいろな思いを持ち参加されていました。

その夜は、食事をしながらお互いの紹介タイムでした。どのような経営をしているか、どのような思いで参加されたのか、話を聞いていると私も鼓舞されてきました。

わざわざこのツアーのように、海外まで出向き何かを獲得していこうという先生たちのお話を聞いているだけでも参考になることが沢山ありました。

そもそも、このツアーの企画の趣旨を簡単にまとめると次のようなものでした。

「これからの日本の高齢化・少子化・人口の減少・医療費を主とする社会保障の増大、過去最大の増税、今後増えるだろう税金など大変な課題が山積みである中どのように経営をしていったら良いのか。

いま、ほとんどの経営者は「井の中の蛙です」周りだけ見ていては何も気づけません。

海外に視察をしている先駆者たちは海外から見る日本の危機を訴えています。

是非、先生も海外の視点からこれからのリスクを知り今後の経営の参考にしてほしい。」

というものです。

私は単に歯科の勉強だけではなく、医院を経営していく中で当院に通ってきて頂いている患者さんやうちで働いてくれているスタッフたちを守るためにも経営の学びも必要だと考えています。経営を学んでいると、上記のような危機を耳にする機会が多くなっています。

では、自分には何かできるのでしょうか?

そのように考えているときにあったのが今回のセミナーへのお誘いでした。

かなりのハードスケジュールでした。

次回から視察してきたポイントを少し詳しくご紹介させて頂きたいと思います。


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