歯科コラム

歯科医院の未来展望:予防と高齢化に向けた対策


現代社会において、歯科医院は驚くほどの数が存在し、コンビニエンスストアの数を上回るとまで言われています。歯科治療を必要とする患者にとって、選択の余地は豊富であり、様々な歯科医院から治療を受けることができます。しかし、この状況が今後も続くと考えていいのでしょうか?

歯科業界自体も高齢化の進行に直面しており、特に団塊の世代として知られる人々が高齢化しています。

この団塊の世代が経営する歯科医院も高齢化し、今後10年から20年の将来を展望すると、歯科医院の数は減少傾向にあると言わざるを得ません。

その背後には、多くの歯科医師が高齢化に伴い閉院する一方で、若い歯科医師が増えないことが影響しています。さらに、政府の政策により、歯科大学からの卒業生数が制限され、歯科医師の数は減少の一途をたどっています。

現在卒業する歯科医師の中で、男女比はほとんど変わらず、約半分が女性の歯科医師です。しかし、開業する歯科医師は男性が多いと言われており、今後も新たに開業する歯科医院が少なくなることが予想されます。

この傾向が続けば、10年後から20年後にかけて日本の高齢化は一段と進行し、その結果、歯科医院の数が極端に減少するでしょう。

この状況下では、患者さんたちは適切な歯科医院を見つけるのが難しくなり、待ち時間が増え、予約が取りにくい状況が発生する可能性があります。

さらに高齢化の進行は、医療費の増加をもたらすことが予想されます。

高齢者の医療費は若い世代に比べて非常に高額で、これが医療費負担を増加させます。

そうすると、今でさえ医療費の財源が厳しい状況なのに、高齢化に拍車がかかれば財源は底をついてしまいます。

そうなってしまえば、どこかを削減するしか方法はありません。

その状況からすれば、特に若者の虫歯治療や歯周病治療への資金を削除していく可能性があります。

医療費は国民から支払われる保険料によって賄われており、将来的に若者の減少と高齢化が進行すると、保険料の負担が増加し、支えきれなくなるかもしれません。

また、現代においては定職に就かない若者も増加しており、税金と保険料の確保がますます難しくなっている状況も考慮すべきです。

将来的には医療費の財源確保が難しくなる可能性が高いため、虫歯の治療や被せ物などは自己負担が増える可能性があるでしょう。この結果、自己負担の負担が大きくなり、口腔の健康状態が急速に悪化する可能性があります。したがって、疾患が進行する前に予防に重点を置くことがますます重要になるでしょう。

将来を見据えて

歯科医療の未来を考えると、何か問題が生じたときに治療を受けるのではなく、早い段階で予防に注力する必要があります。

歯科の病気は生活習慣が原因です。

生活習慣は取り組むのがなかなか大変です。

これからどんなことが起きても大丈夫なように次のようなことに気を付ける必要があるでしょう。

この予防的なアプローチは、虫歯や歯周病の予防だけでなく、口腔全般の健康維持に貢献します。

以下に、歯科医院における予防の重要性について詳しく掘り下げてみましょう。

日常の口腔ケア

予防の第一歩は、日常の口腔ケアです。適切な歯みがき、フロスを習慣にしましょう。

定期的に歯医者に通い、磨き残しのある口内の細菌や食物残渣を定期的に取り除くことで、虫歯や歯周病のリスクを低減できます。

もちろん、虫歯や歯周病の早期発見にもつながるでしょう。

定期的な歯科検診

歯科医院での定期的な歯科検診は、予防の基本です。歯科医師は早期に問題を発見し、適切な治療やアドバイスを提供します。

虫歯や歯周病の早期発見は、将来の重大な問題を防ぐのに役立ちます。

バランスの取れた食事

食事は口腔の健康に大きな影響を与えます。

糖分や酸性の飲食物(炭酸飲料も含めて)を制限し、栄養バランスの取れた食事を摂ることで、虫歯や歯周病のリスクを軽減できます。

糖質の制限は虫歯のリスクを下げるだけではなく、内臓脂肪を減らし、血管を強化して将来

いろいろな疾病を予防することに繋がります。

口腔衛生教育

予防は教育から始まります。

歯科医師や歯科衛生士から口腔衛生に関する正しい情報を学びましょう。

歯の磨き方、フロスの使い方、間食の取り方、呼吸など沢山していて欲しいことがあります。子供たちにも口腔ケアの重要性を教え、小さいときから将来へ口腔の健康を守りましょう。

マウスピースの使用

スポーツをする際や、歯ぎしりの癖がある場合は、マウスピースの使用を検討しましょう。これにより、歯や口腔の損傷を予防できます。

前のブログにも書きましたが、歯ぎしりや食いしばりは歯にとって重大な損傷を与えます。

自分では気づけないものです。

歯に冷たいものがしみたり、時々噛むと痛くなったりする方は是非歯医者さんで診てもらいましょう。

当医院にいらっしゃっている患者さんの多くの方にもマウスピースを使ってもらっています。

マウスピースは予防です。

歯が欠けたり、割れてしまってからでは遅いのです。

また、筋トレをする方も噛みしめている方が多いので、スポーツ用のマウスピースは保険対象外になりますが、お勧めしています。

喫煙とアルコールの制限

喫煙やアルコールの摂取は、口腔の健康に深刻な悪影響を与えます。

喫煙は言うに及ばず、アルコールも度が過ぎれば問題になります。

特に、ビールや日本酒は糖質です。

飲んでおいしいのも糖質だからです。

健康のためにも糖質を下げてください。

また、お酒の飲みすぎは寝落ちしてしまうことに繋がります。

確かにその時は幸せでしょう。

しかしそれとは引き換えに、歯を失うことになります。

患者さんにも毎晩、晩酌をしてそのまま寝てしまう方がいらっしゃいしました。

その方のお口の中は歯周病で大変なことになっていました。

歯を磨く間もなく寝てしまった結果です。

その患者さんが、晩酌の量を減らし、必ず歯を磨いてから寝るようになったら歯周病はかなり改善しました。

本当なら、お酒も控えてもらいたいところですが、その方の最大の楽しみなのでしょう。

こちらでしっかりフォローしていくことになりました。

タバコに関しては、多くの方が「何かなければやめられない」状況です。

タバコを吸う方の口腔粘膜の性状は良くはありません。

患者さんでも何人か、タバコが原因かどうかは不明ですが肺がんになってしまった方がいらっしゃいます。

ほとんどの方は、さすがにタバコを止める方が殆どですが、中には習慣を変えない方もいらっしゃいます。

でも、将来を考えればやはり今よりもつらい日々を送るようななってしまうと思います。

これらの習慣を制限することは、口腔がんなどのリスクを軽減するのにも役立ちます。

ストレスの管理

ストレスは歯ぎしりの原因となり、歯の摩耗や噛み合わせの問題を引き起こす可能性があります。

これもブログに書きましたが、ストレスのない生活は現代では困難です。

上手くストレスと付き合いながら、マウスピースを使い口腔の健康に悪影響を及ぼすことを避けましょう。

まとめ

これからの時代、歯科医院の数が減少し、医療費の負担が高まる可能性があるため、予防がますます重要になります。

国としても歯医者にかけられる予算の多くはきっと「予防」や「高齢者」、「訪問歯科」に集約していくでしょう。

歯の健康を守るために、自身の口腔ケアに取り組むことはもちろん、歯科医院での定期的な検診も怠らないようにしましょう。

また、若者から高齢者まで、口腔の健康に関する正しい情報を広める役割も大切です。歯科医療の未来を見越して、予防に焦点を当て、口腔の健康を維持しましょう。


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