歯科コラム

セカンドオピニオンについて


みなさんは歯医者に行っていろいろな説明を聞いた時に、「本当にこれが自分にとってのベストな治療なんだろうか?」と思いませんか?

中には疑いもせずに、「それでいいです!」と即答する患者さんもいらっしゃいます。

結局は「どうしていいのか分からない」「話を聞いてもよく理解できないから、先生が一生懸命に説明してくれているからそれで良いかな?」「選択肢がいっぱいあって結局何が良いのか分からない」「さっきの説明ってなんだっけ?忘れちゃった。」

いろいろな理由から曖昧なお返事をしている患者さんが多いと、実は感じています。

当院では、「きっと一度聞いただけでは理解できない」という前提で、自費の治療や難しい症例ではその日に最終的な治療方法を決めずに、もう一度説明してから決定してもらうことも良くあります。

そして、次に来院して頂いた時に質問させて頂くことも良くあります。

「この前、ご説明させて頂きましたが、どちらの治療方法が良いですか?」

「それはなぜですか?」  です。

ここで自分なりに説明できる方は、理解できている方が殆どです。

ここでちょっとピント違いの説明をされる時は、大体理解できていませんので改めて説明させて頂くことが多いのです。

これから自分が受ける歯科治療を理解してもらうことは

患者さんにとってはとても大変な事だと思っています。

最近はネットで・・・

そのような患者さんの中にもネット情報を良く調べていらっしゃる方も多くなってきました。

私としては勉強していらっしゃるので、説明しやすいことが多いです。

まあ、中には「勉強しすぎ」てしまい、変な情報まで仕入れてくる患者さんもいらっしゃいますので、ネットの情報の収集には気を付けて頂きたいと思います。

歯医者さんで出来る治療方法には決まりがない

多くの患者さんが意外と驚くのが「歯科医院ごとに考え方も治療方法も全く違う」という事です。

多くの方は「保険診療ならば、全国どこで診てもらっても変わりはないだろう」という思い込みです。

使える材料はほぼ似たようなものが多いでしょう。

しかし、歯に詰めるプラスチック一つとっても、ネットで売っている「格安」の物からちゃんとした「ブランドもの」まで治療する先生の考え方で全く違うのです。

うちではすべて、保険で使用可能で出来るだけ良い材料を選んで使っています。

それはやはり、使いやすさだったり耐久性が違うのです。

保険診療でさえ「違う」ので自費診療の内容には制限がありません。

その先生が考える「ベスト」が自費診療だと考えると良いのではないのでしょうか。

しかし、その先生にとっては「ベスト」かもしれませんが、他の先生の意見では違うことも多々あります。

それは、治療に対する考え方・先生の腕 などの個人差が大きいからです。

歯科医師は当然大学を卒業してくるわけですが、きっとそこまでは大差はないと思います。

そこからどんな先生の元で勉強するか、どれ程勉強していくか、どれ程のいろいろな症例に巡り合うか・・・・すべて「育ち方が違う」のです。

例えば、都内で勤務した先生と地方で勤務した先生。

いらっしゃる患者さんの「悩み」はかなり違うようです。(一般的な話として)。

先日、川崎で働いている先生と長い時間お話しする機会がありました。

その先生には私の医院に見学に来てもらいました。

その先生は素晴らしい考え方をお持ちの先生でした。

患者さんのお話になると、「いらっしゃる患者さんの口腔内がすごく違うと」仰っていました。

先生が働いている地域では、まだまだ虫歯が多い患者さんがかなりいらっしゃるそうです。 私の診療所には、滅多に虫歯がひどい患者さんはいらっしゃいません。

距離的には1時間くらいしか離れていないのに、かなり違うという事に私は驚きました。

セカンドオピニオン

最近はセカンドオピニオンを求めて来院する患者さんが増えています。

殆どの患者さんは「この前歯医者に行ったら、この歯はもう抜かないと痛みは取れないだろう」と言われて、意見を求めにいらっしゃる患者さんが多いのです。

確かに、だれが診ても放置しすぎて、抜く以外に選択がなさそうな歯もあります。

しかし、ほとんどの歯は「何とかなりそう」なことが多くあります。

ではなぜそのようになってしまうのでしょうか?

経験値が違う

抜歯しないと治らないと仰った先生には失礼かもしれませんが、私はズバリこれ!だと思っています。

経験値は大切です。

今までいろいろな場面に出逢い、治療してきたことは私にとっては宝物です。

多くの症例を治療してきたことにより、早く結果につなげられたり、「例え、酷い状態の患者さんがいらっしゃっても、その患者さんのゴールまで見当がつく」のです。

まあ、経験値が違うと言っても・・・

私は歯医者をして30年以上になりますが、痛みが何をやっても取れなくて専門医にお願いした症例は30年間で5件もないと思います。(若いときから、治せなかった症例は殆どないのです。大切なのは経験値以上に基本に忠実に治療することと、基本に沿って治療できるかが大切です。)

世の中、理由が見当たらずに痛みがどうしても取れない症例も確かにあります。

本当に分からないものもあります。

でも、ほとんどの症例には原因があるから痛みが出るのです。その痛みの原因を取ってあげるのです。 虫歯もそうです。「虫歯が無くならなくて困っている。」にも原因があるのです。

痛くなるには2つしか原因はありません。(粘膜病変や腫瘍は別です)

1つ、感染している。

2つ、過剰な力が掛かっている。

これしかありません。

もう一つ、あると言えばあるのですが・・・

それは「気持ち」です。

どんなに治療が完璧でも「気持ち」が原因で治らない時があります。

極端な言い方をすれば「そのような患者さんは、治ってしまったら困る」のです。

「は?」  って思いますよね。

これについて書くと長くなるので何かの機会にお話しします。

また、抜くしかないと判断された「ひどい虫歯」も技でカバーします。

さすがに抜歯以外の選択がないような歯であっても、「それこそ1年だけでも構わないから残してほしい」とご希望する患者さんもいらっしゃいます。

その場合は、とにかく何とかして「体にとって害にならないように出来るなら」まずは抜かないようにします。(体に害になる場合とは、残して置くことで腫れがひどくなったり、膿が出続けたり、痛みが取れないような場合です)

なんだかんだで当院で治療を完了する患者さんは多くいらっしゃいます。

何故そのような違いが出てくるのか?

先ほどもご説明しましたが、経験値の違い(私の場合は当てはまらないかもしれませんが)・考え方の違いだと思います。

その背景には「時代」があると感じています。

私が開業した頃、20年前は殆どの歯科医師はいろいろな先生の下で「修行」していました。一通りのことが出来るようになってから、自信がついてから開業していました。

私も開業前に10年以上勤務医の経験があります。

その間には、分院長も経験し「マネージメント」や「経営」のことも勉強しました。

しかし、それほど勉強しても開業してみると実情は違います。

自分でやるのと、人の畑で働いているのは全く違うのです。

最近のドクターの傾向としては下手をすると3年くらい。そこそこ頑張った先生でも5年くらいで開業する先生が多いと、業者さんからお聞きします。

私からすると、「よく開業できるな?!」と思います。

きっとここ10年くらいはだんだんと経営も難しくなってきていると思います。

開業すると治療だけに集中し、勉強していれば良い訳ではなく、どちらかと言えばそれ以外の仕事の方が大変すぎて、開業してしまっては勉強する時間もお金も無いと思います。

結局何が言いたいのかと言いますと、技術がないまま開業してしまい、患者さんがいらっしゃったけど治せない先生が増えているという事です。

そして、「治せない=抜歯」 になってしまっているのではないかと危惧しています。

多くの患者さんは先生に「治らないですね、抜歯しましょう。」と言われれば、しょうがなく信じてしまうと思います。

でも、抜歯の前にセカンドオピニオンに勇気を出して聞いて欲しいのです。

私はインプラントはやっていません。

しかし、否定もしません。

選択肢の一つとして「最良の選択」となりうることも十分あります。

しかし注意して欲しいことがあります。

インプラントを勧める先生の多くは、かなり早期に抜歯をお勧めする傾向にあります。

(診療科目にインプラントが表記されていれば、お勧めしてくると思います。)

理由は、虫歯や歯周病が悪化する前の方がインプラントの成功率が格段に高くなるからです。

それなので、セカンドオピニオンを求めるときはインプラントの科目表記がない診療所のお話も聞いてみることをお勧めします。

それよりなにより「歯を抜かない」治療を前面に推している歯科医院を選んで欲しいと思います。

インプラントの治療を受けていらっしゃる患者さんも最近は増えています。

そのような患者さんに、「インプラントのデメリットは覚えていますか?」と質問します。「聞いたことない」「知らない」人しかいません。

ちゃんと説明されているとは思いますが、治療する前にメリット・デメリットはちゃんと理解して欲しいと思っています。

まとめ

自分がどんな治療を受けるか、ぜひ興味を持ってほしいと思います。

「分からないから先生にお任せします。」これが歯を失う原因です。

キチンと自分のお口の将来を考えて下さい。 歯を抜いてしまったら2度と元には戻せません。インプラントや入れ歯はあくまでも「道具」です。自分の歯には全く及びません。安易に歯を抜く選択はしないで下さい。

治療方法が理解できるまで先生や衛生士さんに説明してもらいましょう。

そして、よくわからないときは勇気をもってセカンドオピニオンを求めて下さい。


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